【秘伝・シナリオ骨法十箇条】知らないと損する面白い脚本の書き方【その八、ヤマ】

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物語のクライマックスを作るのが苦手です。いつもそのせいで盛り上がりに欠ける平坦な話ができあがってしまいます。クライマックスはそもそもどうやって作ったらいいのでしょうか。さらに、クライマックスを面白く盛り上げるにはどうしたらいいのでしょうか。具体的な方法を教えてください。

ヒセオ
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今回はこういった疑問に答えるべく「シナリオ骨法十箇条その八、ヤマ」について解説していきます。ヤマとはクライマックスのことです。今回はどうやったら面白いクライマックスが作れるのかを解説していきます。


僕も初心者の頃は、「ストーリーにはクライマックスが必要だ」ということは分かるけど、そもそも「クライマックスをどう書けばいいのか」という具体的なことは分かりませんでした。

そんな僕でも、いろんな映画を観たり、実際に脚本を書いていくうちに、クライマックスの書き方のコツのようなものがつかめてきたので、今回はそれを共有していきます!

本記事を読めば、「クライマックスとは何か?」「面白いクライマックスはどう書けばいいか?」ということがほぼ理解できると思います。

本記事の内容
・ヤマはなぜ必要?
・ヤマに必要不可欠な2つの要素
・ヤマを作る上で大切なこと


※シナリオ骨法その一〜その七までは、すでに解説済みですので、まだ読んでない方や復習したい方は下記リンクからどうぞ。


シナリオ骨法について、くわしいことはすべてこのブログに書いてありますので、執筆のときのヒントに使ってください。

自分が今作ろうとしているストーリーにはヤマはあるか、カセはあるか、みたいな感じで照らし合わせてみるといいかと思います。

本記事では、笠原和夫著『映画はやくざなり』に書かれた「シナリオ骨法十箇条」を元に、僕なりに解説しています。気になった方は本書を読んでみてもいいかもしれません。でもお金が無い方は、無理に買わなくてもこのブログ読んでおけばOKですよ。


それではさっそく 「シナリオ骨法十箇条その八、ヤマ」について解説していきます 。

とりあえずこのヤマという概念さえ理解して使いこなせるようになれば、オリジナリティあふれる面白い物語が書けるようになるといっても過言ではないでしょう。

ヤマはなぜ必要?

ヤマはその物語のクライマックス。一番盛り上がる部分です。 ヤマがない話は、とにかく盛り上がりがないので、観客たちに不満を残してしまいます。

シナリオ骨法十箇条が記してある『映画はやくざなり』にはヤマについてこう書かれています。

骨法その八。「ヤマ」。俗にヤマ場、見せ場という。クライマックスである。ここでは本筋、脇筋を含めたあらゆるドラマ要素が集結し、人物たちは最大限に感情を激発させ、衝突し、格闘し、一大修羅場を呈することになる。

映画はやくざなり/笠原和夫


「何かが足りない」という映画はだいたいこの盛り上がりが無いことが多いです。ヤマがない話というのは、盛り上がりに欠け、なんだか消化不良で不満が残るのです。

面白い物語とは、観客を感情的に満足させるものだと僕は思います。ですので、面白い物語を書きたければヤマは絶対に必要だと考えます

では、面白いクライマックスを作るにはどうすればいいか?それにはやっぱりコツがあります。以下で詳しく解説していきます。

ヤマに必要不可欠な2つの要素

ヤマを作る際に、意識すべき必要な要素は2つです。

  • ①面白いアクションで見せる
  • ②主人公の感情がいちばん高まるように設定する

①面白いアクションで見せる

クライマックスはアクション、動きで見せるものだということを知っておきましょう。

アクションとはどういうことかを知るためにまずは、あなたの好きな映画やドラマのクライマックスのシーンを思い出してみてください。

たとえば・・・バスを追いかけ走る、自転車で逃げる、電車の上で敵と戦う、などいろいろなクライマックスのシーンが浮かぶかと思います。


このように動的なものを画で見せるのがアクションです。「追う」「逃げる」「戦う」など、これがアクションです。簡単ですね。

ただ「追う」「逃げる」「戦う」のアクションをなんのひねりもなく見せただけでは、面白いクライマックスは作れません。

面白いクライマックスを作るためにはまず、見たことのない画を作るということを意識してみてください。

「バスを追いかけ走る」だと、どこかで見たことあるようなクライマックスにしかなりません。

ですのでたとえば、ただ走って追いかけるのではなく、車椅子で追いかけたらどうでしょう?バスを追いかけるのではなく、霊柩車を追いかけたらどうでしょう。

車椅子に乗った主人公が、全力で霊柩車を追いかける。同じ「追う」というアクションでも、あまり見たことないようなクライマックスができあがります。

そして、なんだかすこしドラマが生まれた気もします。面白いクライマックスにはすべてこういった工夫が見られます。

映画『E.T.』のクライマックスでは、ただ走って「逃げる」のではなく、小道具として自転車を使っています。さらにE.T.の不思議な力で自転車で空を飛んでいきます。

スパイ映画のクライマックスでは、ただ路上で「戦う」だけではありきたりなので、舞台を工夫して、走る電車の上や、回るメリーゴーランドの上で戦わせたりします。


見たことない画を作ることができればクライマックスをさらに面白く盛り上げることができます。アクションを考えたら、小道具と舞台に工夫をこらしてしてみましょう。

クライマックスのアクション自体にはそんなにたくさんの種類はないです。

せいぜい「追う」「逃げる」「戦う」「走る」「叫ぶ」「踊る」「歌う」「殺す」「告白する」とかだいたいこんな感じかと思います。

ですので、アクションのみでオリジナリティを出すのはけっこう難しいです。

面白いクライマックスを作るためには、小道具舞台でオリジナリティあるものを設定し、見たことの無いような面白い画になるように作ればOKです。

頭をやわらかくして、画、イメージを思い浮かべて考えてみましょう。どこかで見たことあるようなありきたりなものではダメです。柔軟な想像力が必要ですね。

②主人公の感情がいちばん高まるように設定する

オリジナリティあふれる小道具や舞台が思いついたとしても、そのクライマックスに主人公の感情がのっていなければ何の意味もありません。

主人公が最大に葛藤した末に行動するというのがクライマックスです。

これはクライマックス単体ではなく、物語全体の構成として考える必要があります。構成についてはまずは『SAVE THE CATの法則』から学ぶのがいちばんの近道だとおもいます。

物語の構成については『SAVE THE CATの法則』を読んでおけばほぼ理解できます。これをうまく使って物語を組み立てていけば主人公の感情も自然なものにできると思います。
『SAVE THE CATの法則』 の解説はこちらから>>>>SAVE THE CATの法則まとめ!面白い脚本の書き方①


クライマックスでは、主人公の感情も大切にしてください。人間は感情があって初めて行動に移します。

主人公の感情がないことには、いくら新しいアクションを見せたとしても、それは中身の無いものになってしまいますので注意が必要です。

ヤマを作る上で大切なこと

上記の解説をまとめると、ヤマを作る上で大切なことは2つです。

  • ①オリジナリティあるアクションを見せる
  • ②主人公の普遍的な強い感情を描く


まずは、見たことの無い画をイメージして、①オリジナリティあるアクションを見せるということ意識して作ってみてください。

新しいと感じられる物語には、画の新しさがあります。 上記に書いた通り、オリジナリティあるアクションは、少し工夫をすればすぐに作れるようになります。

次に、クライマックスに向けて②主人公の普遍的な強い感情を描くということを意識してください。主人公の感情を丁寧に丁寧に描いていってください。

言うのは簡単ですがここがいちばん難しく、すぐにできるようにはならない部分です。

意識して訓練するうちにだんだんとできるようになっていくと思います。まずは感情を描くということを意識することが大切だと思います。

「オリジナリティあふれるアクション」と「普遍的な強い感情」 この2つを意識してクライマックスを作ることで、あなたのストーリーは見違えるほど良くなると断言できます。ぜひ参考にしてみてください。

では最後にクライマックスを作る手順を書いておきます。

①追う、逃げる、戦う、走る、叫ぶ、踊る、殺す、などのアクションを決める

②アクションを行う小道具を決める(自転車で逃げる、車椅子で追う、など)

③アクションを行う舞台を決める(電車の上、メリーゴーランドの上、など)

④SAVE THE CATのビートシートを元に、主人公の感情の流れを整理する


物語を作るときは、クライマックスをまず設定してから書き始めるのがオススメです。まずは上記を元に、あなたなりのクライマックスを設定してみてください。



というわけで今回は以上となります。次回は「シナリオ骨法その九、オチ」について書いていきたいと思います。

ヒセオ
ヒセオ

骨法と共にあらんことを・・・

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