脚本家を目指している人・・・

キャラクターや舞台の設定はできた!でも、次は何を書けばいいんだろう……?

キャラと舞台の設定までできたら次に書くことは決まっている!
ようやく物語が始まる重要なパートを解説していきます。
◎この記事で分かること・・・
■物語の構成が分かる。
■的確なきっかけ・悩みのときのシーンを作れるようになる。
今回の記事は、『SAVE THE CATの法則』のチャプター4に記載されている“ブレイク・スナイダー・ビート・シート”を元に【きっかけ】のパートと【悩みのとき】のパートについて書いていきます。
本を読んだだけではちょっと分かりにくい部分まで、僕独自の考えを織り交ぜながら詳しく掘り下げていきたいと思います。
きっかけについて

【きっかけ】は、物語を動かし出すための事件が起きるパートです。
【きっかけ】のパートが抜けてしまっていたり、【きっかけ】があやふやな物語は、物語ですらないと言えます。
何も起きない物語は物語ではないのです。
初心者が最初のころよくやってしまうことの中に、出来事の羅列を物語だと思って書くということがあります。
この間違いは【きっかけ】のパートで決定的な事件が設定されていないから起こってしまうのだと思います。
1時間もののコンクールの場合だと、だいたい10ページ前後のところで何か【きっかけ】の事件が起きるべきです。
セットアップにページを割きすぎて、何も事件が起きないまま話が進むと当然、飽きられてしまいます。
自分の物語の冒頭10ページあたりで【きっかけ】の事件が起きているかしっかり確認してみましょう。
きっかけでは何を書く?

『SAVE THE CATの法則』を読むと
電報、解雇の知らせ、妻の浮気現場を目撃、余命あと三日という宣告、ドアのノックの音、使いのものなどすべてそう(すべて【きっかけ】)だ。
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
セットアップでは<使用前>の世界がどんなものかを観客に伝えた。【きっかけ】では、その世界をぶっつぶすのである。
と書いてあります。
【きっかけ】のパートでは、とりあえず事件が起こるだけです。
このパートではまだ主人公は、行動に移せません。
【きっかけ】で事件が起こり、【悩みのとき】で悩んでから【第一ターニングポイント】で行動するという選択をするのです。
最初のうちは【きっかけ】と【第一ターニングポイント】を混同してしまいがちなので注意しましょう。
・【きっかけ】では事件が起きるだけ
・【第一ターニングポイント】で、ようやく行動する
悩みのときについて

【悩みのとき】は、主人公の感情を描くパートです。
僕がいきついた答えはこうです。
・【きっかけ】のパートでは、フィクションを描く。
・【悩みのとき】のパートでは、リアルを描く。
つまり
・【きっかけ】では、作者が創造した何かしらの事件を描く。
・【悩みのとき】では、キャラクターから湧き出た感情を描く。
ということです。なんとなく伝わってくれれば嬉しいです。
【悩みのとき】をすっとばすと、読者や視聴者は物語についていけなくなります。
なぜなら、大事件が起こったとき、即行動に移せる人間などいないからです。
人間は必ずうろたえます。必ず迷います。
このパートで主人公の感情をしっかり描くことで、ストーリーの流れも自然になります。
悩みのときでは何を書く?

『SAVE THE CATの法則』を読むと
悩みのときとは――よく考えるための時間なのだ。「そんなことできるわけない!」って主人公が言う最後のチャンスである。自分の目標は実現不可能なんじゃないかと疑問に感じ、いろいろ悩む。本当に行くべきなんだろうか?思い切ってやったほうが……
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
と書いてあります。
悩むというのは、つまり『葛藤』するということです。
面白い物語の要素として必ず『葛藤』というものがあります。
逆に言えば『葛藤』があれば面白い物語になりやすいのです。
実は【悩みのとき】のパートは、主人公を『葛藤』させる絶好のチャンスなのです。
映画『ロッキー』の場合だとこうなります。
【きっかけ】世界チャンピオンのアポロが、無名のボクサーロッキーを対戦相手に指名する。
【悩みのとき】ロッキーは驚いたが、実力差は歴然だとその申し出を一度断る。
このように事件が起きた後、必ず主人公は一度迷います。
短いワンシーンの場合もありますし、シーンをまたぐ場合もあります。
よく「人間を描け」といろんなところで言われていますが、まずは『葛藤』をしっかり描くことが人間を描くことに繋がっていきます。
まとめ

【 きっかけ】のパートでは主人公が困る事件を起こす!
ここはアイデアの見せ所。
どんな主人公がどんな事件に巻き込まれるのか考えよう。
【悩みのとき】のパートでは 主人公の葛藤を描く!
ここは作家的視点の見せ所。
人間のリアルな部分を、独自の視点を加えて描いてみよう。
とにかく大事件を起こして、葛藤させてみましょう。
まずはそれを意識して書くだけで、物語の形がはっきりと浮かび上がってきます。
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