脚本の勉強を始めたばかりの初心者の方・・・

脚本の勉強になる映画が知りたい。でもどんな映画を観たらいいか分からない。

今回は脚本の勉強になるオススメの邦画を5つ厳選しました。あわせて映画を見たあとの勉強法も解説していきます。
この記事で分かること
- 脚本の勉強になる邦画が5個分かる
- 面白い物語に共通する構成が分かる
- 映画を観て脚本の勉強をする方法が分かる
記事の信頼性
- 僕は年間200本ほど映画を観ています
- 4年ほど映像脚本の勉強をしてきました
- 現在プロのシナリオライターとして活動中
オススメ邦画5選

僕の好みもありますが、とにかく誰が観ても面白いと言えるであろう映画を選びました。
この記事では深く映画の感想などは述べませんが、またいずれそういう記事も書きたいと思っています。
男女問わずオススメできる映画なのでぜひ観てみてください。
おくりびと
2008年公開の日本映画。
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
第81回アカデミー賞外国語映画賞、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞した作品です。
所属していた楽団が解散になり、職を失った主人公が故郷へ帰り、妻には内緒で納棺師として仕事を始めます。
ちゃんと脚本のことが分かってくると、この物語の本質は“納棺士の話”ではなく、“家族の話”だということが分かります。
納棺士はただのモチーフですが、それを上手く使った家族の話なのです。(まだよく分からなくても大丈夫です)
死んだ人を、心から尊重し扱う納棺士の美しさに感動します。
千と千尋の神隠し
2001年公開の日本のアニメーション映画。
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
言わずと知れたジブリの名作ですね。
第75回アカデミー賞アカデミー長編アニメ映画賞などを受賞しました。
2019年1月16日現在、日本で一番売れた映画なので観たことがない人はいないと思います笑。
でも大人になった今、もう一回観てください。僕はその面白さに度肝ぬかれました。
クライマックスのハクが龍の姿になって、千尋がハクの名前を言うシーンがとても好きです。
あの感動はなんなんでしょうね。
なぜかあのシーンを思い出すだけで泣けてきちゃうんですよね。
なかなかそんな映画ってないですよね。
あのシーンの感動は未だにうまく言語化できません。
とても不思議で、特別な映画です。
HANA-BI
1998年公開の日本映画。
監督:北野武
脚本:北野武
イタリアの第54回ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞(最高賞)などを受賞しています。
芸人・ビートたけしは皆さん知っているでしょうが、監督・北野武を知ってる人は少ないかと思います。
武演じる主人公の刑事は、数ヶ月前に幼い子供を亡くし、妻は病に冒され余命わずか。妻の見舞い中、自分の代わりに張り込みをしていてくれた同僚と部下が犯人に撃たれます。
部下は殉職、同僚も車椅子生活を余儀なくされる体になってしまいます。
主人公は最初からどん底です。ここから生きる希望を見出して…なんて甘っちょろいストーリー運びを武はしません。どんどん主人公を追い込みます。
武の撮る映画は、いつも残酷で、そして本当に優しいです。
百円の恋
2014年公開の日本映画。
監督:武正晴
脚本:足立紳
第39回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞などを受賞しました。
とにかく安藤サクラの演技や役作りがすごいですね。でもこのキャラクターを作ったのは脚本家なのです。
それに役者が肉付けをして、生きた人間が現れるのです。
脚本の足立紳さんはNHKの第38回創作テレビドラマ大賞で『佐知とマユ』という作品で受賞しています。
生き生きとしたキャラクターを書くのが本当にうまい脚本家だと思います。
ザ・マジックアワー
2008年公開の日本映画。
監督:三谷幸喜
脚本:三谷幸喜
マジックアワーとは本作では“誰にでもある人生で最も輝く瞬間”を意味しています。
マフィアのボスの愛人であるマリに手を出した備後(ビンゴ)は、自分の命を見逃してもらうため伝説の殺し屋「デラ富樫」を連れてくることになります。
一向にデラ富樫を見つけられない備後は、売れない三流俳優である村田を映画の撮影だと騙して、デラ富樫に仕立てて乗り切ろうと奔走します。
まず設定が面白いです。
本物のマフィアのボスの前で、デラ富樫を演じきる村田に爆笑してしまいます。
映画を観て勉強するときの注意点

勉強するぞと意気込んで、いきなり黒澤明の『七人の侍』とか小津安二郎の『東京物語』とか観なくてもいいですからね。
どちらも世界的にも評価が高い本当に素晴らしい日本映画ですが、正直言っていきなり初心者が見る映画ではないです。
僕も最初は我慢して観ましたが、そのすごさはよくわかりませんでした。
そんなに面白いか?となった記憶があります。
古今東西の映画をだいたい1000本近く観たあたりで再度七人の侍や東京物語を観たらその面白さ、素晴らしさがようやく分かった感じです。
(それでもたぶん本当のところは半分くらいしか分かっていないと思いますが笑)
もちろん、脚本家になる上で観ておかないと恥ずかしい映画ではあります。
ただ最初のうちは自分が観たいと思う映画、そしてできるだけ新しい映画を観ることをおすすめします。
キャラクターとセリフの勉強
僕は洋画が好きで洋画ばかり分析していました。
構成の把握の訓練にはなりましたが、キャラクター作りとセリフを書くことを軽視していました。
しかし実際、テレビ局のコンクールはその作品のキャラクターとセリフを重視しているのです。
キャラクターとセリフの勉強になるのは邦画です。
あたりまえのことですけど、皆さんが書く脚本に出てくるキャラクターたちは基本的に日本人だと思いますし、セリフは日本語で書きますよね。
なので洋画ばかり観るのは良くないです。
そして邦画を観るときはセリフとキャラクターを特に意識して観てみましょう。
書かないと上達しない
面白い映画をたくさん観たからといって、面白い脚本が書けるようにはなりません。
絵や書道と一緒です。
素晴らしい絵画や書を100万点見たからといって、同じように書けるようにはならないですよね。
たとえばこんな人がいたとします。「絵が好きで絵を描きたいけど、まだうまく描けないから、いっぱい上手な絵を見て勉強しよう。」
皆さんならこんな人を見てどう思いますか?
勉強するのはいいですが、見るばかりでは絵が上手くなるはずがないだろと言ってやりたくなると思います。
こと脚本を書くことになると勘違いしてしまいやすいのですが、脚本だって絵と同じで書かないことには上達しません。
実際僕もそうだったのですが、 インプットばかりしてアウトプットをしようとしませんでした。
「まだ上手く書けそうにないし、もっと映画を観てからにしよう」
「特に書くネタもないし、映画でも観てネタ集めしてからにしよう」
「コンクールまでまだ日にちがあるし、ゆっくり映画でも観ながら素晴らしいアイデアが降りてくるのを待とう」
これじゃあただの映画バカですね笑。
色んな映画を観ることはできましたが、なかなか次のステップに進もうとしなかったのです。
映画を観るのが悪いとは言いませんが、少し時間を無駄にしたなと思っています。
皆さんだって、いっぱい映画を観たいんじゃなくて、面白い脚本を書けるようになりたいんですよね。
脚本の勉強がしたいんじゃなくて、面白い脚本を書けるようになりたいんですよね。ここの本質を忘れないようにしましょう。
具体的な勉強法

僕が実際にやっていた勉強法を紹介します。
映画を観て、その中から自分が面白いと思ったシーンを見つける→そのシーンを観ながら、自分でパソコンに文字に起こして書く。
とりあえずこれだけです。
逆バコならぬ、逆シーンと僕は呼んでいます。
“逆バコ”とはDVDなどで再生しながら、どんなシーンがどんな順番で並んでいるか書いて行く作業。すでに完成している作品から逆にハコ書きを起こすので「逆バコ」と言ったりします。
その際、下記の点を意識して書きましょう。
- 柱(場所)はどこ?
- 時間帯は、いつ?(昼、夜など)
- このシーンの登場人物は誰?
- 登場人物の入場、退場のタイミングはどうなってる?
- 登場人物たちはどんな言葉を喋ってる?
ワンシーンだけでいいので、DVDやNetflixなどで一時停止しながら完全に真似してセリフやト書きも書きます。
セリフは役者が喋ったことをそのまま書けばいいのですが、ト書きはどう書くべきか迷うこともあるかと思います。
最初は下手でもいいので、自分で考えて書きましょう。
繰り返していくうちに、だんだんと脚本とはこういうものだと腑に落ちてくる感覚が何となく分かってくると思います。
ぜひやってみてください。
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