【秘伝・シナリオ骨法十箇条】知らないと損する面白い脚本の書き方【その九、オチ】

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脚本初心者の方・・・「物語の良い閉じ方が分からず、いつもラストシーンがうまく作れません。面白いラストを書くためにはどうしたらいいか具体的な方法を教えてください」

今回はこういった疑問に答えるべく、「シナリオ骨法十箇条その九、オチ」について解説していきます。

本記事の内容
・シナリオ骨法十箇条・その九、オチ
・オチを作る手順
・オチを作るときの注意点
・オチを作る上で大切なこと

脚本初心者のよくある悩みとして、「ラストがうまく作れない……」ということがあると思います。

僕も元々は、「ラストシーンではいったい何を書けばいいのか……」といつも頭を悩ませていまして、「勢いで書き始めたは良いけど、どう終わらせるんだこの話……」なんてこともしばしば。

とはいえ、そんな僕ももう脚本の勉強を始めて5年ほど。シナリオスクールに通い、様々な本で勉強し、映画を分析したりするうちに「良いオチを作るコツ」みたいなものが分かってきました。

そこで今回は「面白い物語のラストシーンの作り方や注意点」などを解説していこうと思います。

本記事では、『仁義なき戦い』などの脚本を書かれた笠原和夫さん考案のシナリオ骨法十箇条を元に「骨法その九、オチ」について掘り下げていきます。

シナリオ骨法十箇条・その九、オチ

シナリオ骨法十箇条について書いてある『映画はやくざなり』には、オチについてこう記してあります。

締めくくり、ラストシーンである。オチには観客の予測と期待通りに終わる場合と、観客の予測に反しながらも、期待は満たして収束する場合の2種類がある。

映画はやくざなり/笠原和夫

そして、注意点としてはこうあります。

予測できて期待ハズレ予測できなくて期待も満たされないそんなオチが厳禁であることは言うまでもない。

映画はやくざなり/笠原和夫

ここでは、なんとなく分かれば大丈夫です。まずはこの「オチ」という概念を理解しておきましょう。

オチを作る手順

オチを作る手順は以下の通り。

  • ①書きたい話の売りを見極める
  • ②5種類のオチから合うものを探す

①書きたい話の売りを見極める

物語の売りによって、それぞれ適切なオチがあります。売りとは、簡単に言うとその物語のジャンルのことだと考えてもらって大丈夫です。

自分が今書きたい(書いている)話はどういったジャンルのものか、をまず考えてみてください。

コメディ(笑いが売り)なのか、ラブロマンス(恋バナが売り)なのか、ホラー(恐怖が売り)なのか、ミステリー(謎解きが売り)なのか。

考えてみれば分かると思いますが、ジャンルによって適切なオチは違ってきます。

たとえば、ラブロマンスの場合だったら結末は「2人はくっつくか否か」というところを考えますよね。

ラストで2人がくっつくなら、観客は「ああ良かった」と思うでしょうし、逆にくっつかなくとも「ああ切ない」と思うでしょう。(中身が最高に良くて結末に納得できる場合の話ですが)

ですのでまずは、観客にどう感じて欲しいのか?ということを考えてみてください。「ああ良かった」と感じて欲しいのか「ああ切ない」と感じて欲しいのか。

それが物語の売りを見極めるということです。まずはそれさえできれば、適切なオチが見つかるかと思います。

②5種類のオチから合うものを探す

面白い映画のオチを、僕なりに5種類に分類してみました。

  • A.切ないラブエンド
  • B.嵐の後のリターンエンド
  • C.傷だらけのビクトリーエンド
  • D.再会のエモーショナルエンド
  • E.無情のサッドエンド

売りが見つかったら、このテンプレの中から合うものを探してみましょう。

A.切ないラブエンド

『主人公が一緒に過ごした相手と別れて、ひとり新たな世界に旅立つ』ラスト。

B.嵐の後のリターンエンド

『主人公が成長し、いつもの(しかし少し見え方の変わった)場所に戻ってくる』ラスト。

C.傷だらけのビクトリーエンド

『成長した主人公が、勝利をつかみとる』ラスト。

D.再会のエモーショナルエンド

『主人公と、別れた相手役が、再会を果たす』ラスト。

E.無情のサッドエンド

『主人公が死ぬ。姿を消す』ラスト。


まずは、以上の5種類のオチのテンプレから、自分の作品に合ったオチを考えてみてください。

オチを作るときの注意点

オチを作るときの注意点は、以下の2点です。

  • ①結末を決めてから書き始める
  • ②結末を観客にゆだねない

①結末を決めてから書き始める

脚本を書くときは、できるだけ結末を決めてから書き始めるのが良いでしょう。

連ドラや、連載漫画などの長い尺の物語では、ラストを決めずに書き始めることもあります。

ですが、コンクール応募や映画に限った話をすると、オチを決めてから書き始めた方がいいです。

なぜなら、オチを決めずに書き始めてしまうと、枚数制限におさまらなかったり、どこに向かって話を進めればいいのか分からなくなってしまうからです。

コンクールや映画には決められた尺、枚数制限があり、その制限内でおさまるように脚本を書く必要があります。

結末を決めておけば、構成を練りやすく、尺におさまらないなどといったことは減るので、効率も良くなります。

②結末を観客にゆだねない

観客は、物語になんらかの結末を必ず期待します。2人はくっついたのか、くっつかなかったのか、その2択なのです。

たまに観客に解釈をゆだねる終わり方をする映画もありますが、実はこれはかなりの高等技術です。

これがバシッと決まれば、かっこいいラストになるのは間違いないのですが、初心者が安易にマネすると、ただの消化不良な結末に終わることが多いです。

なぜそうなるかと言うと、初心者の場合、「結末を考えるのが難しいから」という逃げで観客に結末をゆだねるオチにしていることが多いからだと思います。

オチとは、その物語の「答え」です。最後どうなったのかを観客にきちんと明示してあげましょう。

オチを作る上でいちばん大切なこと

結論は「作者のあなた自身が満足できるラストを書けたか」ということです。

観客を満足させるラストを考えれば、そこから良いオチは導き出せます。良いオチとは「期待に応えつつ、それを上回る」ものだと思います。

「万人が満足する物語なんてないだろう」という声が聞こえてきそうですが、それはその通りです。

誰もが満足する物語など存在しないので、だからこそ作者のあなた自身が心から満足できるオチを作るべきなのです。

作者自身が満足できないかぎり、観客の満足などありえません。

まずは自分自身が納得できるラストを書くことをいちばん大切にしてみてください。


それでは、骨法その九オチについてはこれで以上です。

骨法その一〜その八までは、すでに解説済みですので、まだ読んでない方や復習したい方は下記リンクからどうぞ。

シナリオ骨法について、くわしいことはすべてこのブログに書いてありますので、執筆のときのヒントに活用してみてください。

次回は、最後の骨法「シナリオ骨法その十、オダイモク」について書いてきたいと思います。

ヒセオ
ヒセオ

骨法とともにあらんことを……

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