今回は、こういった疑問に答えます。
本記事では、第44回創作テレビドラマ大賞において、受賞するための題材の選び方を解説します。
第44回創作テレビドラマ大賞はNHKが主催するテレビドラマ脚本コンクールです。
締め切りは2019年6月30日なので、あと1ヶ月と少し時間があります。
規定枚数が400字詰で50〜55枚と短めなので、1ヶ月あれば間に合うと思います。今から書き始めても遅くない!
すでに作品に取りかかっている人も多いと思いますが、直しの時に今回解説する題材の選び方や考え方も参考程度に見ていただければなと思います。
前回の記事でも書いた通り、先日参加してきた公開講座で収穫してきた話なども含めて、それを元に僕なりに解説していきます。
それでは、さっそく見ていきましょう。
創作テレビドラマ大賞は題材選びが一番重要

先に結論を言うと、創作テレビドラマ大賞では、題材選びが一番重要です。
もちろん技術がともなってないといけないのは当たり前です。
ただ、最終選考まで残れば、あとは「今ドラマにするべき題材かどうか」というのが大賞選考基準の大きな要素だと思います。
以下で理由を述べていきます。
創作テレビドラマ公開講座で昨年受賞者のお話を聞いて

この前、創作テレビドラマ公開講座に行ってきたのですが、そこで昨年の大賞受賞者である鳴尾美希子さんのお話も聞けました。
鳴尾さんは、自分の作品が選ばれたのはおそらく題材が良かったから、一番はそこだったと思うとおっしゃっていました。
昨年の大賞作品「ゴールド!」は、高齢者ドライバーを題材にしています。
「ゴールド!」の主人公は運転免許を取得して50年以上、一度も交通違反をしていない75歳の男性。そんなある日、信号無視で違反切符を切られてしまいます。自分が信号無視などしたはずがないと、警官のミスを証明しようとする話です。
ついこの間も高齢者が起こした痛ましい交通事故があったり、「高齢者ドライバー」というのはまさしく「今やるべきドラマ」の題材であると考えられると思います。
昨年受賞作の選評を読んで

月刊ドラマ2018年12月号には、最終選考作品すべての選評が掲載されているのですが、ここでは「ゴールド!」の選評を少し紹介します。
魅力と欠点を感じつつも、高齢者や介護問題を取り上げる作品が多い中、このテーマはドラマにする意味があることが、題材として一番良かったです。
高齢者の交通事故は現代の問題となっていて、この問題をドラマで取り上げるのは大きな意味があると思います。主人公の心の動きをよく理解できました。
タイトルの「ゴールド!」が免許証のゴールドと、主人公の地元での地位や築いてきたプライドを表していて、非常に入り込みやすいキャラクターを見せてくれる。
主人公はシニア世代で、彼のプライド、色々なものが衰えていく悲しみ、そういうことをうまく表現していると思います。
現代的なテーマを描きながら、老いていくことの普遍的なところにも及んでいる気がして、とてもいいと思います。
題材はとても面白いと思いました。ただ、この主人公が私は苦手で、最初に読んだ時は絶対にないなと思いました。
年老いていくことの難しさ、それに抗う主人公の気持ちがよくできていて、面白いと思いました。
などなど。主人公のキャラクターや、物語の展開については色々意見が別れたようですが、題材については全審査員好意的な意見でした。
昨年の大賞作品「ゴールド!」&選評は月刊ドラマ2018年12月号に掲載されています。
創作テレビドラマ大賞受賞のためのヒントがたくさん隠されているので応募される方はぜひ読むことをオススメします。
受賞に近づくための題材の選び方&考え方

以下の3つです。
- ①5年前にはなかった物事を考える
- ②作者自身の考えや視点をドラマに組み込む
- ③ なぜ今やるべき題材なのかを考える
①5年前にはなかった物事を考える
まず考えるべきは現代性、今っぽさがあるかどうかです。
今っぽさを出すには、5年前にはなかったものを題材にしてみましょう。
5年前には高齢者ドライバーの交通事故って今ほど聞かなかったですよね。
他にも、5年前にはユーチューバーという職業はまだ一般的ではなかったですし、インフルエンサーという言葉もなかった気がします。
VRもなかったし、LGBTという言葉も今ほど浸透してなかったし、自動運転の車も出回ってなかったし、AI技術も今ほどなかったと思います。
このように、5年前はどうだったかを考えると、今っぽさ、現代性のある題材に繋がると思います。
創作テレビドラマ大賞には、介護を題材にした作品の応募がかなり多いらしいのですが、介護ってたしかにずっとある問題ではあるのですが、実際もう古いですよね。
5年前から今まで、介護のあり方ってそんなに変わってない気がします。親の介護が当たり前みたいな時代に結構前から突入しています。なのでそこに真新しさはないです。
もし介護問題についてどうしても書きたいのなら、介護にVRを組み合わせたり、AIを組み合わせたり、その辺の工夫がないと他の応募作品に埋もれてしまいます。
ですので、まずは5年前にはなかった技術や職業や言葉や考え方の中から、自分が興味のある題材を選んでみてください。
②作者自身の考えや視点をドラマに組み込む
新しい題材が見つかったとしても、ただそれをストーリーに組み込むだけではあまり意味がないです。
必ず作者のあなた自身の考えや視点をドラマに組み込み、キャラクターに背負わせましょう。
例えばLGBTを題材に選んだとして、主人公をレズの女性にしたとします。
その主人公がある日恋をして、葛藤しつつ、カミングアウトするみたいな話を書くだけではダメです。
作者自身がレズのことをどう思っているのかをドラマに組み込みましょう。
「気持ち悪い」とか「別に普通じゃない?」とか「自分の娘がレズだったら……」とかなんでもいいです。
これが作者の視点になり、あなただけのオリジナリティになります。
③なぜ今やるべき題材なのかを考える
これも作者の視点につながることなのですが、「なぜ今この題材でドラマをやるべきなのか」を考えてみてください。
昨年受賞者の鳴尾さんは、自分の実体験から、交通事故が少しでも減ればなという思いがあって「ゴールド!」を書いたとおっしゃっていました。
「ゴールド!」を読んでくれた人、見てくれた人が、「安全運転しよう」と思ってくれたら、すごいことだと思って書きましたという言葉が印象的でした。
「今、高齢者ドライバーの事故が増えているから、それを減らしたい!だからこの題材でドラマをやりたいんだ!」ということです。
「今、○○な問題があるから、この物語を通して、その問題を少しでも減らしたい!」そういう思いが必要なのだと思います。
最終的に、あなたがその題材を通して、読者や視聴者に何を届けたいのか、どう思って欲しいのかというところまでを考えてみてください。
というわけで今回は以上です。

ではまた次回!
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