【秘伝・シナリオ骨法十箇条】知らないと損する面白い脚本の書き方【その四、カタキ】

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シナリオ骨法十箇条とは、『仁義なき戦い』などの脚本家である笠原和夫さんの『映画はやくざなり』という本に書かれた脚本術です。

脚本家になるなら常識として知っておくことをオススメします。

【秘伝・シナリオ骨法十箇条】知らないと損する面白い脚本の書き方

☑本記事の内容

・3種類のカタキ
・強いカタキの作り方のコツ

ヒセオ
ヒセオ

今回は骨法その四、「カタキ」について詳しく解説していきます!

骨法その四「カタキ」

敵役のことである。前条の「オタカラ」を奪おうとする側の者である。メロドラマにおける「恋敵」などもこれにあたる。

映画はやくざなり

主人公はカセを背負いながら、オタカラを目指します。

その主人公が求めるオタカラの前に立ちふさがる壁がカタキです。

3種類のカタキ

カタキになり得るものは3つあります。


①悪さをする者

②ライバル

③黒幕


以下で解説していきます。

①「悪さをする者」がカタキの場合

わかりやすい勧善懲悪ものでは、敵は「悪さをする者」として設定され、これが物語のカタキになっています。

『桃太郎』『水戸黄門』『ヒーロー戦隊シリーズ』などがそうですね。

ただ、これはパターン化したもので、面白さや新しさに欠けます。わりと簡単に勝っちゃいますしね。

ちょっと違うエッセンスを加えたのが、映画『ジョーズ』です。

『ジョーズ』の場合のカタキはサメです。それも超巨大な人食いザメです。

簡単に倒せる相手ではありません。

「悪さをする者」をカタキとする場合、よくあるパターンにならないように注意しましょう。

カタキは必ずしも人である必要はありません。

霊的なものであったり、エイリアンであったり、いろいろなパターンがあります。

②「ライバル」がカタキの場合

スポーツもののカタキは、悪さをしているわけではなく、ただ主人公より強い(うまい)だけです。

恋愛もののカタキも、ただ主人公よりハイスペックなだけです。

これがライバル」です。

このように「悪さをする者」でなくともカタキとなり得ます。

現代劇のカタキは、「ライバル」である場合が多いです。

必ずカタキは主人公よりも強く主人公を脅かす存在でなくてはなりません。

『スラムダンク』では、主人公桜木より流川の方がはるかにうまいです。湘北高校より山王工業の方がはるかに強いです。

カタキを主人公よりも強くすればするほど、主人公が勝利した時のカタルシス(観客が感じる気持ち良さ)が大きくなります。

カタルシスは、面白い物語に必須の要素です。

③「黒幕」がカタキの場合

「黒幕」「悪さをする者」裏であやつる巨大なカタキです。

半沢直樹での「黒幕」は北大路欣也が演じる銀行の頭取です。

黒幕は一目見ただけで悪とは分からないような者です。悪いやつなのか分からない振る舞いをします。

主人公を評価していたり、時には主人公に有利になる言動をしたりします。

もうひとつ、黒幕はドンデン返しでよく使われるパターンがあります。

初めのうちはいい人として振舞っていた人間主人公の味方だった人間実は黒幕だったというパターンです。

『ゴースト ニューヨークの幻』『流星の絆』がまさしくそれです。

黒幕は、初めは主人公の味方をしていたり、世間的にもいい人と思われている権力者です。

『名探偵コナン』の黒幕は阿笠博士という説があります。あくまで説ですが、面白いですよね。

主人公は、オタカラが欲しいから「悪さをする者」を倒そうとします。すると、その過程で「黒幕」の存在に気づくのです。

強いカタキの作り方のコツ

強いカタキを作るコツは倒すことが一見不可能に見えるカタキを設定するということです。

強大なカタキを作り、「果たして勝てるのか?」「どうやって勝つのか?」と、読者や観客に思わせる必要があります。

そういった感情を抱かせることができさえすれれば、最後まで物語を読み進めてくれるでしょう。

ここでは悪い例としてあげますが、『水戸黄門』『アンパンマン』などは、ただのパターンの面白さです。

どちらも長く愛され続けている作品ですが、毎週毎週あのパターンが続くから面白いだけで、ストーリーが面白いわけではありません。

漫画『デスノート』のカタキは、L(エル)というキャラクターです。

主人公の月(ライト)も天才ですが、Lも月と同じかそれ以上の天才キャラとして描かれています。

この二人の対決の結末を知りたくて、読者はページをめくります。

カタキを設定する際には、作者自身も「どうやってこんな強い敵を倒すのか」ということを主人公と一緒に考えるのです。

それぐらいのことをしないと強力なカタキは作れません。

物語を作る上でいちばん難しい部分であり、楽しい部分でもあります。

実際、ここをおろそかにしている人ばかりなので、カタキをしっかり設定できれば、あなたの作品のレベルはぐんとあがります。

ぜひ、カタキを作って自分の物語に登場させてみてください。

「悪さをするもの」でも「ライバルでも「黒幕」でも何でもいいです。

話の面白さが倍増するのが分かると思います。

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