脚本家を目指している人・・・

ラストシーンをどう書けばいいのか分からない。ハッピーエンドにするか、バッドエンドにするか……。

ラストシーンでその物語の印象は大きく変わる!「ハッピーエンド」や「バッドエンド」という言葉じゃ抽象的過ぎて分かりづらいですよね。今回は具体的に良いラストシーンを5種類解説していきます。
◎この記事で分かること・・・
■的確なラストシーンを書けるようになる
以前の記事でも紹介しましたが、『SAVE THE CATの法則・本当に売れる脚本術』はシナリオを書いたことがない初心者や、上手くシナリオが書けない人を救う最強の脚本術の本だと思います。
読んだことがない人は、ぜひ読んでみて下さい。
今回の記事は、『SAVE THE CATの法則』のチャプター4に記載されている“ブレイク・スナイダー・ビート・シート”を元に【フィナーレ】のパートについて書いていきます。
SAVE THE CATの法則を読んだだけではちょっと分かりにくい部分まで、僕の考えを交えて詳しく掘り下げていきたいと思います。
ファイナルイメージについて
【ファイナルイメージ】で書くのはその物語の最後のラストシーンです。
『SAVE THE CATの法則』を読むと
【ファイナルイメージ】は【オープニングイメージ】と対のビートであり、本物の変化を見せる場である。
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』
と書いてあります。
ファイナルイメージは、オープニングイメージと密につながっています。
主人公の成長や変化を分かりやすく見せる最後のパートです。
良いラストシーンの書き方
どんなラストが良いラストなのか?
物語の数だけ、ラストシーンはあります。
ただ、いくつかの大きなグループに分けて考えることができます。
古今東西の映画を観て僕なりに考えた結果、良い映画の終わり方は5つに分類できました。
①切ないラブエンド
②嵐の後のリターンエンド
③傷だらけのビクトリーエンド
④再会のエモーショナルエンド
⑤無情のサッドエンド
以上の5つです。これは僕が勝手に名前をつけただけなのであまりお気になさらず。
では、さっそく見ていきましょう。
①切ないラブエンド

『主人公が一緒に過ごした相手と別れて、ひとり新たな世界に旅立つ』ラスト。
このようなラストを迎える映画・・・
○E.T
○ローマの休日
○ビフォアサンライズ
○ラ・ラ・ランド
○グッドウィルハンティング
○バタフライエフェクト
○ゴーストニューヨークの幻
etc…
『切ないラブエンド』ではラストは別れのシーンで締めくくります。
自分の気持ちを押し殺して、別れを選んだ主人公の自己犠牲を見せて感動させることができますし、その決断を見せることで主人公の成長も感じさせることができます。
ほとんどの人が、失恋を経験したり、大切な人と別れたという経験があると思います。
そのときの「切ない」という感情を沸き起こさせることで感動させることができるのが『切ないラブエンド』です。
②嵐の後のリターンエンド

『主人公が成長し、いつもの(しかし少し見え方の変わった)場所に戻ってくる』ラスト。
このようなラストを迎える映画・・・
○バックトゥザ・フューチャー
○インセプション
○ギャラクシークエスト
○大災難P.T.A.
○胸騒ぎの恋人
○マンチェスターバイザシー
○千と千尋の神隠し
etc…
『切ないラブエンド』は別れのシーンで物語を閉じますが、『嵐の後のリターンエンド』は別れたあとのシーンを描いてから(主人公が元いた場所に戻ってから)物語を閉じます。
物語の基本である『行って、戻る』を見せることで、主人公の成長をより分かりやすく描くことができます。
さらに嵐の後のような映画的余韻を残します。
③傷だらけのビクトリーエンド

『成長した主人公が、勝利をつかみとる』ラスト。
このようなラストを迎える映画・・・
○ロッキー
○遊星からの物体X
○燃えよドラゴン
○ジョーズ
etc…
アクションものやホラーはこの終わり方が多いです。
物理的な勝利だけではなく、必ず精神的な勝利もセットになります。
ロッキーは最後、判定負けします。
しかし、最終ラウンドまでリングに立ち続けました。
それが彼の勝利だったのです。
倒すべき敵を、傷だらけになりながらも最後にやっつけることで、主人公の成長を「勝利」という目に見える形で見せることができます。
④再会のエモーショナルエンド

『主人公と、別れた相手役が、再会を果たす』ラスト。
このようなラストを迎える映画・・・
○幸せの黄色いハンカチ
○街の灯
○ジャンゴ 繋がれざるもの
○ショーシャンクの空に
etc…
分かりやすく泣けちゃうハッピーエンドですね。
視聴者や読者が望んだ通りのラストなので、万人ウケする終わり方です。
この終わり方は簡単そうで、けっこう難しいです。
ご都合主義になると、とたんにシラけてしまうので意外と上級者向けだったりします。
初心者が『再開のエモーショナルエンド』を書くと、「ただの良い話」になって何も心に響かない場合が多いので注意が必要です。
では、どうすればいいのか?
上記にあげた映画の例を見ると、共通していることがあります。
それは、「主人公が何らかの罪を背負っている」ということです。
「ただの良い話」にはならないようにするためには、主人公に罪を背負わせるなど工夫をしてバランスをとる必要があります。
⑤無情のサッドエンド

『主人公が死ぬ。姿を消す』ラスト。
このようなラストを迎える映画・・・
○エルトポ
○ソナチネ
○海の上のピアニスト
○テルマ&ルイーズ
○アメリカンビューティー
○イージーライダー
etc…
世間一般に言うバッドエンドです。
衝撃的なラストなので、いちばん心に残ります。
「自ら命を絶つ場合」と、「他人に殺される場合」があります。
「自ら命を絶つ場合」、主人公にはそれなりの決意、動機が必要です。
そこをしっかり描けていないと、物語自体が滅茶苦茶になってしまいますので注意しましょう。
「他人に殺される場合」も同様、殺される理由をしっかり描くことが必要です。
なんの理由もなく唐突に殺されるのは、物語として破綻してしまいます。
まとめ
①切ないラブエンド
②嵐の後のリターンエンド
③傷だらけのビクトリーエンド
④再会のエモーショナルエンド
⑤無情のサッドエンド
ラストに迷ったら、この5つのうちから選んでみてください。
記事を読んだだけで行動に移さなければ、結局脚本は書けるようになりません。
インプットをしたら、すべてを出し切るつもりでアウトプットしてみましょう。
すべてを出し切って書けなくなったら、またインプットすれば良いのです。
創作とはインプット⇄アウトプットの繰り返しです。
まずは、とにかく最初のワンシーンを書いてみてください。
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全12回におよぶ、『SAVE THE CATの法則に学ぶ!』シリーズいかがでしたでしょうか。
もっと詳しいことを知りたいという人は『SAVE THE CATの法則』を読んでみることをオススメします。
最初の記事はこちら>>>>SAVE THE CATの法則まとめ!面白い脚本の書き方①(オープニング・イメージ編)
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