◎脚本家を目指している人・・・

物語も中盤を過ぎた。次は何を書けば面白くなるんだろう。

ようやく物語も後半へ突入だ。ここではだんだんと暗雲が立ち込めてくる。今回は迫りくる悪い奴らのパートを解説していこう。
◎この記事で分かること・・・
■物語の構成が分かる。
■的確な【迫り来る悪い奴ら】のパートを作れるようになる。
以前の記事でも紹介しましたが、『SAVE THE CATの法則・本当に売れる脚本術』はシナリオを書いたことがない初心者や、上手くシナリオが書けない人を救う最強の脚本術の本だと思います。
今回の記事は、『SAVE THE CATの法則』のチャプター4に記載されている“ブレイク・スナイダー・ビート・シート”を元に【ミッドポイント】のパートについて書いていきます。
本を読んだだけではちょっと分かりにくい部分まで詳しく掘り下げていきたいと思います。
迫り来る悪い奴らについて

【迫り来る悪い奴ら】は、うまくいっていたはずの主人公にだんだんと暗雲が立ち込めてくるパートです。
『SAVE THE CATの法則』を読むと
【迫りくる悪い奴ら】で起こるべきはこういうことだ。悪い奴らが再び一致団結し、パワーアップして主人公に迫ってくる。悪い奴らは決してあきらめてはいない。主人公には助けを求める場所はもうない。自分の力で乗り切るしかないのだ。目の前に迫ってくるのは巨大な滝だ。
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』
と書いてあります。
【迫り来る悪い奴ら】では決定的な悪いことはまだ起こりません。
決定的なことが起こる前兆のパートです。
敵が人知れず復活するパートだとも言えます。
読者や視聴者の気持ちをしっかり盛り上げたところで事件を起こすのです。
そのためには、いきなり事件を起こしてはいけません。
読者や視聴者は、突然の出来事にはついていけないのです。
「何かが起こりそうだ。そろそろじゃないか」と期待させておいてから事件を起こすことで、読者や視聴者は気持ち良さを感じられるのです。
布石→助走→頂点の考え方

映画『ジョーズ』のシーンを例に見ていきましょう。
サメが海に現れます。近くには人が泳いでいます。
①まず、視覚的に観客はハラハラします。
これを『布石』と呼ぶことにします。
②そして次にあの有名なテーマが流れます。
あの曲によって聴覚的にも観客はさらにハラハラドキドキするのです。
これを『助走』と呼ぶことにします。
③最後に、誰泳いでいた人かがサメに噛まれます。
これを『頂点』と呼ぶことにします。
布石→助走→頂点と順番に観客の気持ちを盛り上げていくことで、
観客はしっかりハラハラ→ドキドキ→恐怖という感情を感じることができるのです。
逆に、サメの近くを泳ぐ人のカットも、音の演出も無ければどうでしょう。
いきなり誰かがサメに噛まれたとしても、これ実際怖くないんです。
この『ジョーズ』の例はシーン単位の話でしたが、パート単位でも布石、助走、頂点をうまく使って観客の感情をうまく操ることができます。
パート単位の布石・助走・頂点

続いてパート単位での布石→助走→頂点を見ていきましょう。
まず、今回の【迫り来る悪い奴ら】は助走のパートだと言えます。
【ミッドポイント】が布石
【迫り来る悪い奴ら】が助走
【全てを失って】が頂点
となります。
【ミッドポイント】では「うまくいきすぎている。そろそろ何かが起こりそうだ」という期待を観客は抱きます。
これが布石です。
【迫り来る悪い奴ら】では「思った通りだんだん風向きが怪しくなってきたぞ。次は何が起こるんだ?」という期待を観客は抱きます。
これが助走です。
このようにしっかり前フリをした上で、 続く【全てを失って】のパートでは決定的な悪いことが起こるのです。
これが頂点ですね。
(実は【全てを失って】は頂点でもあり、布石でもあります。詳しいことは次回の記事で書きたいと思います)
迫り来る悪い奴らの注意点

【迫り来る悪い奴ら】のパートで、初心者がやってしまう悪い例として、『今まで関係なかった急な展開をいきなりこのパートで出してしまう』ということがあります。
【迫りくる悪い奴ら】は前フリをしっかりした上で書きましょう。
関係ないところからの急な展開をするのではなく、物語の前半部分でやったことの報いを受けるのが正しい【迫り来る悪い奴ら】です。
【迫り来る悪い奴ら】のパートは【お楽しみ】のパートと対を成しています。
つまり【お楽しみ】のパートで何かした結果、【迫り来る悪い奴ら】のパートで悪い方向へいかなければならないのです。
ここを意識すれば、急な設定の割り込みは避けられると思います。
まとめ
迫り来る悪い奴らは助走のパートと意識しよう。
迫り来る悪い奴らは【お楽しみ】と対を成すよう書こう。
もし、あなたが今書いている作品でこれらのことができていなければリライトしてみてください。
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